2026年1月|為替市況

 

本記事では、2026年1月の為替市況について解説いたします。

テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。

そのため週間レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。

各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。

 

2026年1月5日~9日

 

①(月)ドル安

  • 経済指標&カシュカリ氏発言
  1. ISM製造業景況指数:予想48.3 結果47.9(前回48.2)
  2. 現在の政策金利は中立金利に近いと推測
  3. 失業率が急速に悪化するリスクが高まっている
  4. ドル円一時156円手前

 

②(火)日経平均安

  • 中国商務省
  1. 軍民両用製品(レアアース等を含む可能性)」の輸出を全面禁止
  2. 日本に対する報復措置
  3. ドル円下落

 

③(火)ユーロ安

  • 独消費者物価指数
  1. 前月比:予想+0.3% 結果±0.0%(前回-0.2%)
  2. 前年比:予想+2.1% 結果+2.0%(前回+2.3%)
  3. ECBが目標とする「2%」のインフレ率に到達
  4. 「利上げ」ができなくなったことが要因

 

④(水)ドル安

  • 経済指標
  1. ADP:予想+5.0万人 結果+4.1万人(前回-3.2万人→-2.9万人)
  2. JOLTS:予想7600千件 結果7146千件(前回7670千件→7449千件)
  3. 予想を下回り金利低下でドル安

 

⑤(水)ドル高

  • 経済指標
  1. ISM非製造業景況指数:予想52.2 結果54.4(前回-52.6)
  2. 年末商戦を含む需要が堅調
  3. 雇用指数が持ち直したこと
  4. 上記の安心感がつながりドル高へ

 

⑥(木)ドル高

  • 経済指標
  1. 新規失業保険申請件数:予想21.2万件 結果20.8万件
  2. 労働生産性:予想+5.0%結果+4.9%
  3. 単位労働費用:予想±0.0% 結果-1.9%
  4. GDP予測(GDPNow)は5.4%に急上昇

 

⑦(木)ドル安

  • ベッセント財務長官
  1. FRB議長人事、トランプはダボス会議(1/19~1/23)前後に決定も
  2. 現在の金利水準は中立金利を依然として大きく上回っている
  3. 多くのモデルが示唆する米政策金利は2.50-3.25%程度
  4. FRBは行動を遅らせるべきではない
  5. 市場は身構える形となる

 

⑧(金)イーブン

  • 経済指標
  1. 雇用者数:予想+7.0万人 結果+5.0万人(前回+6.4万人→+5.6万人)
  2. 失業率:予想4.5% 結果4.4%(前回4.6%→4.5%)
  3. 平均時給(前月比):予想+0.3% 結果+0.3%(前回+0.1%→+0.2%)
  4. 平均時給(前年比):予想+3.6% 結果+3.8%(前回+3.5%→+3.6%)
  5. ドル円の反応は乱高下

 

⑨(金)円安

  • 高市政権の解散総選挙報道
  1. 衆議院の解散・総選挙に踏み切る検討
  2. 日経平均先物は急伸
  3. 積極財政(お金を配る)
  4. 選挙に勝つことでより強力に推進する期待
  5. ドル円158円台に突入

 

 

先週の為替相場は、地政学リスクの高まり、重要な経済指標もありましたが、金曜日に大きく動いたのは「高市首相が衆議院の解散・総選挙に踏み切る検討」報道です。

 

ドル円の値幅2.07円(207pips)となり、現在は158円付近を推移しています。

 

では先週のおさらいになりますが、「ベネズエラ情勢」「米雇用統計」「高市首相が衆議院の解散・総選挙」についてまとめていきます。

 

 

ベネズエラ情勢

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-01-04/T8B0QXKJH6V400

 

ベネズエラの首都カラカスで3日未明に複数の爆発があり、米国のトランプ政権が地上攻撃を命じたと報じられました。

そして、ニコラス・マドゥロ大統領の拘束を完了して、米国へ移送されることになりました。

 

<攻撃した表向きの理由>

  • 対テロ・対麻薬対策
  • 海上輸送を通じて米国へ流入する97%の薬物がベネズエラから持ち込まれていた

<攻撃した真の目的>

  • 対中国の資源戦争
  • ベネズエラは世界一の埋蔵量を誇る原油や、金・銀などの資源を豊富に持つが、マドゥロ政権下で中国・ロシアへの依存を強めていた

 

上記の理由があるとされています。

 

 

ということで、中国に関しては声明を出しており、4日米国に対してベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を即時解放するよう求めました。

 

今回の攻撃を「国際法の明確な違反」と非難しておりますが、この解放を望んでいる理由は、ベネズエラ原油開発に莫大な投資をしているからになります。

 

融資額は15兆円(1000億ドル)と言われており、マドゥロ政権崩壊で回収不能の危機に晒されていること、そして石油の利権を米国に奪われかねない状況ということです。

 

https://jp.reuters.com/markets/japan/V34VJSXTBNLHXHKNIADGMQPRUY-2026-01-03/

 

これに対して、米国はあくまで「対麻薬対策」としていますが、トランプ大統領は「安全な移行まで、米国がベネズエラを統治する」「米国の巨大石油会社を送り込み、数十億ドルを投じてインフラを直す」など、本音を漏らしている状況です。

 

https://www.sankei.com/article/20260105-QIKIHKH5UVO2NJZP7HQWRGTDME/

 

ニコラス・マドゥロ大統領の独裁国家だっただけに、独裁国家から本当の民主主義国家になれる可能性があるということで、「トランプを支持」している状況ということになります。

 

ただし、ベネズエラに住んでいる国民にとっては今後の不安と期待が入り混じっている状態という報道もあります。

誰がなってもいいが、「早く情勢落ち着いて」というのが真意で、 米の強硬策に心境複雑 といった内容も報道に上がっています。

 

上記のような動きが出て、株価や為替にどのような影響が出たのかになりますが、瞬間的にはリスクオフの動きになりましたが、動きは限定的で、ドル円に関しては重要なレジスタンスを抜けて上昇トレンドを維持している状況。

 

リスクオフのドル買いとも言われていますが、おそらく株価も落ち着いていることから、ベネズエラ情勢の影響は軽微と判断していいかもしれません。

 

ちなみに世論調査に関してはCNNの以下の記事が参考になります。

https://www.cnn.co.jp/usa/35242477.html

 

 

米雇用統計

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-01-04/T8B0QXKJH6V400

 

【米雇用統計】

  • 雇用者数:予想+7.0万人 結果+5.0万人(前回+6.4万人→+5.6万人)
  • 失業率:予想4.5% 結果4.4%(前回4.6%→4.5%)
  • 平均時給(前月比):予想+0.3% 結果+0.3%(前回+0.1%→+0.2%)
  • 平均時給(前年比):予想+3.6% 結果+3.8%(前回+3.5%→+3.6%)

 

結果は雇用者数に関して予想を下回る弱い数字となりました。

先週水曜日のADPに近い低い数字で、企業の採用意欲が明確に冷え込んでいることを示しました。

 

しかし、雇用者数が少ないにもかかわらず、失業率が下がった(良くなった)のは意外な結果です。

労働参加率の低下などが影響した可能性がありますが、統計上は「完全な雇用崩壊ではない」という安心材料になります。

 

結果の「ねじれ(雇用者数は悪い、失業率は良い)」に反応して激しく乱高下しましたが、最終的には「雇用の伸び悩み」という事実が重く受け止められ、ドルが売られる展開となり、ドル円は下落することになります。

 

この雇用統計の結果により、FRBが「利下げ」に向かう正当性が強まり、基本的にはドルが上がりにくい(戻り売りされやすい)トレンドが継続することになります。

 

 

高市首相の解散・総選挙報道

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20260109-GYT1T00321/

 

雇用統計の発表終了後、しばらくしてから日本の政局に関する報道で、日経平均株価とドル円が急騰しました。

報道内容としては、高市首相が、近く衆議院の解散・総選挙に踏み切る検討に入ったと読売新聞社から報じられました。

 

現在、まだ確定されたものではないですが、もしこの報道が本当なら、「解散総選挙で政権基盤を強化し積極財政になっていくのでは?」という思惑で、日経平均株価は急騰することになり、53000円後半台まで突入、そしてドル円に関しても158円台に上昇することになりました。

 

背景としては、政権発足後の支持率が安定している(または、政策実行のための信任を問う)タイミングで選挙を行い、長期政権への足場を固める狙いがあると見られます。

 

 

通常、「政治の不透明感(解散)」は嫌気されることもありますが、今回は「高市トレード」と呼ばれる特有のロジックが働き、「株高・円安」が同時進行したという認識で、背景としては以下3つの要因になります。

 

「積極財政・金融緩和」の継続期待

解散報道 = 高市氏が勝とうとしている = 「財政出動(景気対策)」と「緩和維持」が続くという連想が働きました。

 

マーケットは「お金がばら撒かれること」を好むため、これを好感して株が買われる。

 

日銀への政治的圧力(円安要因)

日銀は「徐々に利上げ(正常化)」を模索していますが、高市政権が強くなれば、政治的な圧力で利上げが封印される可能性が高まります。

 

それにより、「日本の金利は上がらない」 ⇔ 「米国の金利はまだ高い」 この金利差が縮まらないことが意識され、円が売られました(ドル円上昇)。

 

円安による輸出関連株の押し上げ

上記理由で「円安」が進んだことにより、日本の主力産業である自動車や電機メーカー(輸出企業)の業績が良くなるとの期待が高まります。

 

円安進行 ➡ 日経平均(輸出株中心)の上昇という、日本株特有の「円安株高」の相関関係が綺麗に発動しました。

 

まだ確定ではなく、マーケットの思惑な動きになりますので、そこだけは把握してきましょう。