2025年11月|為替市況

 

本記事では、2025年11月の為替市況について解説いたします。

テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。

そのため週間レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。

各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。

 

2025年11月3日~7日

 

 

①(月)ドル安

  • ISM製造業景況指数
  1. 予想49.4 結果48.7(前回49.1)
  2. 瞬間的ですがドル円は下落する

 

②(月)横ばいの動き

  • 要人発言
  1. タカ派色が強い内容
  2. インフレ率は依然として目標を上回っている
  3. これを低下させる必要がある

 

③(火)豪ドル安

  • RBA政策金利
  1. 結果:据え置き(360bp)
  2. 事前予想がタカ派だっただけに今回の結果
  3. インフレ予想に関して大幅に上昇

 

④(火)ポンド安

  • リーブス英財務相
  1. 世界的に政府の借入コストが上昇している
  2. インフレ率の低下が予想よりも遅れている
  3. 国内の生産性は予想よりも低い状態にある
  4. 英国の財政悪化懸念

 

⑤(水)円高

  • 三村財務官
  1. 最近の円の動き、ファンダメンタルズから外れる
  2. 円ロングポジション、夏以降は縮小している
  3. 日米の金利差から想定される水準からは乖離している

 

⑥(水)ドル高

  • 経済指標
  1. ADP:予想+2.8万人 結果+4.2万人(前回-3.2万人→-2.9万人)
  2. ISM(サービス):予想50.8 結果52.4(前回50.0)
  3. 強い結果でドル円が上昇
  4. ドル円154円台に回帰

 

⑦(木)ポンド安

  • BOE政策金利
  1. 9人の政策委員が5対4で据え置き
  2. 反対4人は「0.25%ポイント引き下げ」
  3. 「近くて12月の引き下げがあり得る」という思惑
  4. そこまで乱高下せず

 

⑧(木)株安・ドル安

  • チャレンジャー人員削減予定数
  1. 予想-25.8% 結果+175.3%
  2. 10月の米人員削減発表15万3074人
  3. 過去20年余りで最多
  4. 人工知能(AI)の浸透による産業構造の変化
  5. コスト削減の加速

 

⑨(金)ドル安

  • ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
  1. 予想53.1 結果50.3(前回53.6)
  2. 1年先期待インフレ:予想4.6% 結果4.6%(前回4.6%)
  3. 5年先期待インフレ:予想3.7% 結果3.9%(前回3.7%)
  4. 3年ぶりの低水準

 

⑩(金)株高

  • 政府閉鎖解除への期待
  1. 両党がやり取りしているという事実

 

 

【対ドル|騰落率】【対日本円|騰落率】

 

 

先週の為替相場は、米国の経済指標の結果に振らされる動きとなり、ドル円に関してはレンジ相場の動きとなりました。

 

ドル円の値幅は1.66円(166pips)となり、現在は153.419円付近を推移しています。

 

では先週のおさらいになりますが、「ドル円の動き」についてまとめていきます。

 

 

米国の経済指標の結果

火曜日の下落要因

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-04/T56HKTGP493400

 

【片山財務相】

  • (為替ついて)一方的で急激な動きがみられる
  • (為替ついて)高い緊張感をもって見極めている

 

この影響を受け、ドル円は下落。

円買いが加速しました。

 

円安牽制の発言内容になり、ドル円に関しては失速する流れとなり、時間外の米10年債利回りが4.09%台まで低下したことも重しとなってドル円は153.690円まで下落。

 

154円台が壁になるのか引き続き注目とされています。

 

 

水曜日の上昇要因

https://jp.reuters.com/markets/japan/43RIOUOWW5IITOJFWDJFDYE2OI-2025-11-05/

 

【ADP雇用統計】

  • 予想+2.8万人 結果+4.2万人(前回-3.2万人→-2.9万人)

 

この影響を受け、ドル円は上昇することになりました。

前月までは2カ月連続で減少していましたが、雇用市場にいくらか安定が戻った可能性を示唆しました。

 

賃金上昇も、在職者で年率+4.5%、転職者で+6.7%と、僅かな変化ながら前年並み水準を維持しています。

 

ただし「雇用増=十分な回復」とも言えず、雇用増の内訳を見ると、教育・保健、貿易/輸送/ユーティリティが主で、プロフェッショナル・ビジネスサービス、情報、レジャー・ホスピタリティでは雇用減少が続いています。

 

そして続いて以下の経済指標も発表されます。

 

https://jp.reuters.com/markets/japan/43RIOUOWW5IITOJFWDJFDYE2OI-2025-11-05/

 

【ISM非製造業景況指数】

  • 予想50.8 結果52.4(前回50.0)

 

新規受注指数(New Orders)が56.2%と大きく上昇し、活動指数(Business Activity)も54.3%へ上昇しています。

 

一方で雇用指数(Employment Index)は48.2%と依然50を下回っており、サービス部門でも採用抑制が残ることが読み取れます。

 

そして入力コスト(Prices Paid Index)も70.0%と高水準で、インフレ圧力が根強いことが示されています。

 

内訳は以下になります。

 

 

「ADP雇用増加」と「ISMサービスPMI上振れ」は共に 予想を上回る結果 であり、米国経済の一部で「想定よりマシ」という評価が出ています。

 

この影響で、ドル円に関しては154円台に回復することになりました。

 

 

木曜日の下落要因

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-06/T5ARLMGQ1YQV00

 

【チャレンジャー人員削減予定数】

  • 予想-25.8% 結果+175.3%

 

10月の米人員削減発表15万3074人と、同月として過去20年余りで最多となりました。

かなり人員削減がされているとのことで、「雇用悪化が懸念」で、一気にリスクオフの動きとなりました。

 

人工知能(AI)の浸透による産業構造の変化と、コスト削減の加速が背景にあると言われています。

 

チャレンジャーは「一部の業界ではパンデミック期の採用ブームの反動が起きているが、主因はAI導入の進展、個人消費や企業支出の減速、コスト上昇だ。これらが経費削減や採用凍結につながっている」と指摘しました。

 

上記のような3日間の材料にて動きがあり、ドル円に関してはレンジ相場の1週間が続きました。