本記事では、2022年10月の為替市況について解説いたします。
毎週の為替状況をまとめております。
是非ご参考下さいませ。
またFXで良くあるテクニカル的な分析ではなく、ファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。
※参考URL(トレード履歴)
https://ideal-fxsys.com/category/trade-history/ideal/
IDEAL-Advance(米ドル建て)募集開始|2022.7.25〜
2022年10月31日~11月4日
上記日程の重要局面をまとめました。
①ドル買い
- FOMCでの積極的な利上げを続ける期待感
- 148.800円台回復
②米株買い
- 中国のゼロコロナ政策の一部緩和期待
- 株買いドル売り
③ドル買い
- 米指標の強い数字
- ISM製造業景況指数:予想50.0 結果50.2(前回50.9)
- JOLT労働調査:予想9625千件 結果10717千件(前回10280千件)
- 米製造業PMI:予想49.9 結果50.4(前回49.9)
- 建設支出:予想-0.5% 結果0.2%(前回-0.6%)
④ドル買い
- FOMC&パウエルFRB議長発言
- 予想75bp 結果75bp(前回75bp)合計400bp
- 声明文はハト派(145.600付近まで一時急落)
- パウエルFRB議長発言(147.960付近まで買い戻し)
⑤ポンド・ユーロ売り
- BOE政策金利&ベイリーBOE総裁発言
- 予想75bp 結果75bp 合計300bp
- 声明文&発言内容が引き締めに対してネガティブな意向
⑥ドル売り
- 雇用統計の結果
- 非農業部門雇用者数:予想+20.0万人 結果+26.1万人(前回+26.3万人)
- 失業率:予想3.6% 結果3.7%(前回3.5%)
- 平均時給(前月比):予想0.3% 結果0.4%(前回0.3%)
- 平均時給(前年比):予想4.7% 結果4.7%(前回5.0%)
⑦ドルストレート買い
- 雇用統計の結果による米長期金利下落
- ユーロであればラガルドECB総裁の発言内容も関係する
為替市況
先週の為替市場は、FOMCが終了し各国の政策金利が出揃いました。
各国政策金利の利上げ幅の数字で言えば、日銀を除いてほぼ同じですが発言内容にはバラつきがあった印象です。
では先週のおさらいになりますが、「動きが出ている通貨」の1週間の状況をふまえて振り返ります。
米国
先週のFOMCにて声明文が発表されましたが、マーケットにはハト派と捉えられました。
発表直後は大きくドルは売り込まれて、対円にて一時145.600円まで売り込まれます。
ですがその後、パウエルFRB議長の発言内容にて大きく買い戻される事となりました。
内容としては、
- 「ターミナルレート(最終的な金利水準)は従来の想定よりも高くなった」
- 「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」
など、「利上げペースは一時的に様子を見るため(利上げをしてから市場に影響が出るまで半年ぐらいのタイムラグが出る為)減速するが、利上げは続きターミナルレートは上がった」とマーケットは捉え、引き続き来年も継続で引き締めが行われる可能性が高いと捉えました。
発言後には対円で147.960付近まで上昇し引けを迎えました。
金曜日の雇用統計では、失業率以外は全て強い数字が出ましたが、失業率が弱い数字だったため米長期金利が低下しドル円が再度売られる形となりました。
欧州
先週は月曜日から4日間断続的に売られ続けました。
ですが、4日金曜日の欧州時間にてラガルドECB総裁の発言内容で「利上げ継続」を示唆。
その後、上記でもパウエル氏が「タイムラグを考慮した利上げペースで一時的に様子をみる」と言っていますが、その正反対である「政策効果が現れるまで待つわけにはいかない」と発言。
ここで一旦、長期金利の乖離が縮まったと考えていいかもしれないが、対ドルでユーロが大きく上昇し、ユーロドルは200pipsほど反発しました。
英国
BOE政策金利の発表にて75bpの利上げをし、今世紀最大の利上げ幅という結果で着地しました。
ただ、
- 声明文追加:「金利が見通し通り推移すれば2年にわたり景気後退へ」
- ベイリー総裁:「ターミナルレートを下げるべき」
など、政策金利の利上げ幅を最大まで引き上げたが、今後の利上げについてはかなり慎重に対応していくような内容で、かなりハト派としてマーケットはとらえた所はあります。
スナク首相は財政的には引き締め意向が強いですし、今回のギャップはマーケット的にも意外だった反応に近かったと思います。
予測とのギャップが大きければ大きいほど相場は動きますし、それがポンドという通貨だったことがさらに相場に影響を及ぼしたと考えています。
豪州
まだ確定ではありませんが、先週火曜日に発表された「中国のゼロコロナ政策の一部緩和期待」が豪ドルにどのように影響するか気になる所です。
先週は豪ドルも断続的に売られた傾向だったが、原油価格が持ち直していることもあり、買い戻しが起きるかもしれません。
先週もお伝えしている通り、これから厳しい冬を迎える為、原油価格の更なる高騰の可能性があります。
中国経済の回復・原油価格の高騰が重なれば、豪ドルへの買い戻しが入る可能性があるので注目です。
まとめ
先週の注目ポイントは、世界の経済・金融をリードするFOMCにて「ターミナルレート(最終的な金利水準)」の引き上げでした。
要するに最大でどこまで政策金利を引き上げるのか?という数字になりますが、今は500bp以上と言われています。
現在が400bpになりますが、様子見で12月は50bpの利上げが濃厚となっています。
そして今週は米国のCPI(消費者物価指数)になります。
原油高になってきているので、CPIでは強い数字が出ると予想はしておりますが、こればかりは結果次第になります。
引き続きしっかり分析していきたいと思います。
よろしくお願いします。
2022年10月24日~10月28日
上記日程の重要局面をまとめました。
①円買い
- 為替介入(推測)
- 4.2円(420pips)の急落
- 神田財務官「為替介入についてコメントしない」
②ユーロ・ポンド買い
- スナク新首相が誕生
- 英国の政情安定に期待
- 欧州株価も上昇へ
③ドル売り
- 米指標が弱い数字
- 上記を受け長期金利が低下
- S&P/ケース・シラー住宅価格指数:予想-0.80%/+14.05% 結果-1.32%/+13.08%(前回-0.69%/+16.01%)
- 住宅価格指数:予想-0.6% 結果-0.7%(前回-0.6%)
- 消費者信頼感指数:予想106.5 結果102.5(前回107.8)
- リッチモンド連銀製造業指数:予想-5 結果-10(前回±0)
④ドル売り
- FRBの引締めペース減速&BOC政策金利の予想を下回る
- 先週WSJ報道の引き締めペース鈍化が懸念
- (カナダ)BOC政策金利:予想75bp 結果50bp(前回75bp)
- BOCでの予想を下回った事がWJSの米国引き締めペース鈍化と重なる
⑤ドルストレート通貨ペア上昇
- 米長期金利の低下による影響
- ユーロドルはパリティ(1.00000)を上抜ける
⑥ユーロ売り
- ECB政策金利発表
- ECB政策金利:予想75bp 結果75bp(前回75bp)
- 前会合の「数回にわたって利上げ」という文言が削除され「さらに利上げ」と「回数の文言」も削除
- 「QT(引き締め)は意図的に議論しなかった」という発言内容
⑦ドル買い
- BOJ政策金利
- 「大規模緩和策を維持」のスタンス
- 物価上昇率を前回の2.3%から2.9%に引上げ
- YCC(イールドカーブコントロール)が円安を促しているとの指摘を否定
⑧米株価上昇
- Appleの決算が7.6%上昇で良好
- ハイテク以外の銘柄に買いが入りNYダウは800ドル超えの高騰
為替市況
先週の為替市場は、月曜日から為替介入(推測)が入り、ドル円は4.2円急落からのスタートとなりました。
週間単位では、長期金利の低下と共にドル売りに押された展開でした。
ですが28日(金)のBOJ政策金利(日銀)が終わり次第、一部介入警戒感はあるものの買い戻しが入り147.500付近で引けた状態です。
では先週のおさらいになりますが、まずは各国の1週間の状況をふまえて振り返ります。
米国(USD)
先週は為替介入により週初めはドル売り展開となりました。
そして21日(金)のWSJの「引き締めペース減速」の報道が尾を引く一週間となってしまいました。
米長期金利も週半ばまで3日連続で陰線をつけ、米指標も弱い数字が軒並み続きドルは売られる展開に。
キッカケはBOC(Bank of Canada)政策金利の予想を下回ったことです。
もし予想通りで政策金利が400bpとなっていれば、主要国の中ではリードした利上げ幅でした。
しかしBOCの利上げ予想数値を下回り、375bpに留まった事が米長期金利の下落を誘いました。
マーケットとしては「米国引き締めペース減速」というのが頭にある上で、現在は325bp。
11/2の予想値は75bp利上げで合計400bpと現在のBOCと同じ状況にある為、意識はされている状況です。
そして米企業の決算が軒並み悪く(Amazon、Meta、アルファベットetc…)、米株価は毎日引け間際(決算発表)あたりに下落をしていました。
強いて言うならAppleの7.6%上昇が良い数字で金曜日に大きく買い戻しはありましたが、買い戻しなのか?投機筋や個人トレーダーの損切りによる上昇なのか?は定かではない。
あくまで憶測にはなりますが、米株価が上昇しているのは中間選挙が絡んでいるからだと考察しております。
米企業が成長しているように国民にアピールする必要があり、ある意味FRBからのリップサービス期間だったのではないでしょうか。
米株価を上昇させるように何かしらの対応をしてそうな気配です。
そのため、米株価は中間選挙などが終えれば下落局面に入る可能性がある時間の問題だと考察しています。
また、これだけインフレ状態が続いている以上、FRBのPivot(政策転換)は無いと予測はしております。
欧州
先週は27日(木)にECB政策金利がありました。
予想通りの75bpの利上げとなりましたが、声明文やラガルドECB総裁の発言内容的にハト派と捉えられました。
多少でも弱気だったり勘ぐられる声明が出された場合、とことんユーロの場合は売られる対象となっています。
弱気な状況が続きパリティ付近をウロウロしている相場状況ですが、いつもお伝えしている観点から考えるとまだ売られる立場にあると考えています。
日本
先週28日(金)にBOJ政策金利がありました。
「大規模緩和策を維持」と言う変わらないスタンスを継続です。
YCC(イールド・カーブ・コントロール)が円安を促しているとの指摘を黒田総裁が否定したので、金曜日はドル円が大きく上昇となりました。
現在は日銀の為替介入などで、マーケットに対しては上限150円付近になる影響を与えれていると思います。
昨日も147.500付近でドル円は引けていますが、為替介入の影響が大きく上値はそこそこ重たい感じがありました。
今週からFOMCや米重要指標を控えているので、そこをキッカケにドル円がどこまで上昇するかに注目ですね。
英国
先週初めにスナク新首相が就任しました。
元財務大臣という経歴があり、現在の政局を大きく動かしてくれるのでは?という期待感がかなり高いと思います。
先週にもお伝えしておりましたが、ポンドは現在「トラスショック(2022/9/26)」からの反発途中となり大きく買い戻しが入っています。
まずは、
- トラスショックからの信頼回復
- 英国のインフレ問題
- エネルギー問題
などの状況が少しづつ変わってくるのであれば、さらにポンドの買い戻しの期待はできそうです。
豪州
先週はチャートを見る限り、対ドルに対しては強い印象でしたが、相場の動き的に米長期金利の低下による動きでしかなかったと考察しています。
やはり豪州は「中国・原油」がキーワードとなります。
中国が復活=世界の景気が良くなれば自ずと買われる通貨ではありますが、現在のところはまだ回復が見られません。
これから厳しい冬を迎えるため、原油価格の高騰が発生するのではと推測しています。
上記に引っ張られる形で豪ドルへの買い戻しが入る可能性があるので注目しております。
まとめ
先週はBOJ・ECB政策金利があり、週後半から各国の方向性や展開が見え始めてきた一週間でした。
そして今週はいよいよFOMCがあります。
その他にも月末月始で米国の重要な指標が発表されるので激動な一週間となりそうです。
11月FOMCでは75bp利上げ予想ですが、これはほぼ間違いないと推測しています。
むしろ年内最後(12月)のFOMCにてどうなるのか?が要注目ポイントです。
※2022年10月30日現在
- 25bp:8.4%
- 50bp:46.8%
- 75bp:44.9%
この数字通りであれば、難しい判断ですが50bpが濃厚でしょうか。。。
しかしパウエルFRB議長は頻繁に「データ次第」と発言していることもあり、米国の重要指標の結果次第では上記の予想は簡単に覆る可能性があることも認識しておく必要があります。
引き続きしっかり分析していきたいと思います。
よろしくお願いします。
2022年10月17日~10月21日
上記の重要局面をまとめました。
①ポンド+欧州通貨買い
- 減税案を撤回
- ハント英財務相が発表
②米株価上昇
- 米大手銀行の決算発表が好調
- バンクオブアメリカの決算が好調
③(10/18)ドル円一時急落
- 覆面介入??
- 148円前半まで下落(110pips程)
④ポンド売り
- QT(引き締め)の延長はなし
- BOE報道官が否定
⑤ドル買い
- 米経済指標&要人発言
- ドル円は150円を突破
- 米長期金利は4.232%付近まで急上昇
- 新規失業保険申請件数:予想23.0万件 結果21.4万件(前回22.6万件)
- フィラデルフィア連銀景況指数:予想-5.0 万件 結果-8.7(前回-9.9)
- 各要人発言:「インフレ撃退・利上げ必要」発言
⑥ポンド買い
- トラス英首相辞任
- 45日という最短の在任期間
⑦ドル買い
- 32年ぶりの151円突破
- 米長期金利は2007年11月以来となる4.33%台
⑧ドル急落
- WSJ(ウォール・ストリートジャーナル)報道&為替介入
- WSJが75bpの利上げは確実視しているが、12月FOMCでの利上げ幅に関しては50bpへの減速の可能性ありと報道
- 上記報道直後、日銀が為替介入を実行し、145円台(約600pips)まで急落
- 神田財務官が「コメントを控える」と発言
為替市況
先週の為替市場は、ドル円にて心理的節目である150円に到達しましたが、152円目前で「為替介入」が入り145円台前半まで急落。
6円(600pips)以上急落する大相場となりました。
前週の見解にも記載しておりましたが、ドル円が150円の到達は正直予測ができておりましたが、今週に「為替介入」を実施したことに関しては予想外でした。
と言いますのも、次の金曜日にはBOJ(日銀政策金利)の発表を控えています。
BOJにて
BOJでは「金融緩和継続」といつものスタンス通りでいくと予想されます。
そうすればさらに日米の金利差の乖離が生じてしまいますので、ドル円は上昇基調となります。
BOJを控えているにも関わらず前週の金曜日に「為替介入」を実施したとなると、何か思惑・狙いがあるのかな?と勘繰ってしまいます。
トレーディングチームでは、BOJ終了後のドル円が上昇したタイミングを狙って「為替介入」を行い、円高方向に進めるイメージをしておりました。
現在のところは無駄な玉を打っている狙いは不明ですが、公表としては二回目の「為替介入」になりますので来週も引き続き警戒が必要となります。
BOJ当日の黒田総裁の記者会見に注目したいと考えています。
ポンド
ポンドに関しては、上記でも触れている通り「トラス英首相が辞任」しました。
- 45日という最短の任期
- 相場をかき乱した50年ぶりとなる「大幅減税案」の発表
- 金融政策とは逆の動きをする政策
など、多少の期待感があっただけに厳しめに言うとかなり失望させられた結果となりました。
政局でこのような状況になってしまった英国ですが、ハント英財務相も「大幅減税案」に関してはほとんど撤回すると表明したので、今後は通常の相場に戻る可能性も考えられます。
ポンドはトリプル安(通貨・株・債券)と大きく相場が下落したので、買い戻しの流れが起こり一つのチャンスとなるかも知れません。
ユーロ
ユーロは、ポンドと米ドルに振り回された相場でした。
しかし次の木曜日には「ECB政策金利」があります。
現在の所は「75bpの大幅利上げ」と言われていますが、一部50bpという情報もあります。
利上げは間違いないだろうが、もしユーロドルが上昇したとしても上値は限定的と推測しております。
まとめ
上記より、今週の短期的な狙い目は「ポンド・ユーロ」になるかもしれません。
ドル円は2度目の為替介入となり、中長期的にはこの辺りで買い戻しによる『150円後半〜160円』に進む可能性が十分に考えられます。
そして12月のFOMCでは、WSJが【50bp】という利上げペース鈍化の報道もあり、ドル円のご祝儀相場はフィニッシュを迎えてしまうイメージも想像しております。
日銀は「為替介入」と言う武器を使って時間稼ぎをしている状況だと推測しておりますが、ドル円の「金利差拡大期待の買い」と「為替介入期待の売り」の攻防戦がまた繰り広げられると考えています。
今週もしっかり分析していきます。
よろしくお願いします。
2022年10月10日~10月14日
上記の重要局面をまとめました。
①ドル買い
- 米指標の影響を受け
- 東京勢は祝日だったが先週雇用統計の強さにより買われる
②ユーロ売り
- ロシアがウクライナ各地にミサイル
- クリミア大橋爆破の報復
- ウクライナ情勢の悪化懸念
③ポンド売り
- ベイリーBOE総裁発言
- 市場介入を予定通り14日終了すると発表
- 市場関係者へ「関係するファンドと全ての会社に私が伝えたいのは、残されているのは3日だというメッ セージだ。これを終えなくてはならない」と注意を促した
④ドル買い
- 米経済指標(PPI)
- 前月比:予想0.1% 結果0.4%(前回-0.2%)
- 前年比:予想8.4% 結果8.5%(前回8.7%)
- コア・前月比:予想0.2% 結果0.3%(前回0.3%)
- コア・前年比:予想7.3% 結果7.2%(前回7.2%)
前回の介入ラインを突破(146.970)
⑤ドル買い
- 米経済指標(CPI・新規失業保険申請件数)
- CPI 前月比:予想0.2% 結果0.4%(前回0.1%)
- CPI 前年比:予想8.1% 結果8.2%(前回8.3%)
- CPI コア・前月比:予想0.5% 結果0.6%(前回0.6%)
- CPI コア・前年比:予想6.5% 結果6.6%(前回6.3%)
- 規失業保険申請件数 予想22.5万件 結果22.8万件(前回21.9万件)
⑥ドルストレート・株価全般大幅反発
- CPIの影響による下落からショートカバーにより反発
- トラス政権が大幅減税の見直し
- 英国は経済政策と金融政策不一致の改善見込み
⑦ドル買い
- 日米金利差拡大と米経済指標
- 前日のCPI結果により日銀の金利差拡大
- 米ミシガン大消費者信頼感:予想58.9 結果59.8(前回58.6)
⑧ドルストレート・株価下落
- 米経済指標
- 米ミシガン大消費者信頼感の数字が強かった影響
為替市況
先週の為替市場ですが、CPIをきっかけに大きくドルが買われる事となりました。
米長期金利も大幅に上昇し、現在(10/17)ドル円は148.850円をタッチした状態です。
以前から投資家の皆さんより、ドル円が120〜130円台の時に「ドル円はどこまで上昇すると思いますか?」と聞かれることが多かったのですが、その度に【140〜150円の幅】を答えることが多かったです。
それがもう既に148円後半ということは、150円までのこり1.5円(150pips)程度まで近づいてきています。
世界同時不況の可能性?!!
先週月曜日の週報では「逆イールド」についてお伝えしましたが、ドル円がこのような状況ですので、引き続き先週の相場情報も交えて「世界同時不況」の可能性についての配信になります。
先週は重要指標であるCPIもあり、これだけFRBが「利上げ」というインフレを抑え込む手段の一つを徹底的にしているのにも関わらず抑え込めていない状況です。
先々週・先週の「雇用統計」「CPI」に関しては多少弱い数字が出てもおかしく無いはずでしたが、、結果的には強い数字となりました。
日銀の黒田総裁はG7会合にて「緩和継続発言」をしておりますので、2022年11月2日のFOMCでの政策金利は4会合連続となる「75bp」になる可能性が非常に高そうです。
米株価の大幅下落発生!
ですが気になる事といえば、米株価の大幅下落。
現在は、ドル通貨と米株価は逆相関になりますが、これだけ株価が下落するとなると「世界同時不況」がやってくる可能性を考える必要があります。
同時不況がやってくると何が起きるのかというと、「徹底的なリスクオフ相場」になる可能性がある。
世界経済がクラッシュするという事は、投資家はリスクある投資から撤退するフェーズに移ります。
本邦勢の投資家の流れで言えば、
- 米国株を売り
- ドルを保有
- ドルから円へ
という流れになります。
つまり「現金(お金)」という「現物」を持っていることが一番安心という心理状態が働きます。
為替で言えば、円高になるという事であり、ドル円と米株価が正相関になります。
トリプル安の懸念
本当のリスクオフ相場というのは、「通貨・株・債権」のトリプル安になること。
最近でいえば英国トラス政権による50年ぶり「減税案」による「トラスショック」でこのような事例が起きました。
あまり考えたくはありませんが、「世界同時不況」が始まると世界規模で英国のような事が起きる可能性が非常に高いという事です。
そうなれば、間違いなく「米国の金融政策(引き締め)」を終了し、続いて「緩和」をせざる終えない所までFRBは追い込まれる可能性があります。
これだけ急激に利上げ対応をしている為、ショックが起きるのもジワジワではなく急激に来るのではないか?という怖い想像も働きます。
個人的な見解ですが、毎日ニュースを読んでいると2023年には「同時不況」が発生しそうな予感もします。
ドル円の天井は150円台で終了か?!!
こういった事を考えていると、「ドル円の天井は150円台で終了なのかな?」とも感じています。
直近で言えば、マーケットは「日銀の為替介入」というワードを意識されていると思いますが、おそらく日銀側も「この米ドルの上昇の抑止はできているが、完全には止められない」とは感じていると思います。
感じているという事は、「無駄に介入をして玉数を減らす必要は無い」という考えもあると思います。
ただし介入をやめると自国民から非難を浴びる可能性もありますので、「簡易的な為替介入」を行う可能性もあるかもしれませんが・・・。
本質的には、為替介入をしなくても「世界同時不況」が訪れると必然的に円高になると考えれば、特に介入をする必要がない「耐え忍ぶ戦い」を選択する可能性も考えることができます。
これはあくまでもトレーディングチームの私見となります。
事実としてはいつまでも「利上げ」をし続ける事は不可能ですので、「相場の転換期」を見極める必要があります。
もちろん相場のため時期は不明ですが、転換を見極めるには日々の情報収集・分析・理解・実行が必要と感じておりますので、引き続き情報を取得し総合的・客観的に状況を把握し配信していきます。
今週もよろしくお願いします。
2022年10月3日~10月7日
上記の重要局面をまとめました。
①ドル買い
- 月初・四半期始めのドル買いフロー&米指標にて下落
- 145円を再び達成
- ISM製造業景況指数:予想 52.5 結果 50.9(前回52.8)
上記の米指標・日銀介入への警戒もあり144.100あたりまで下落。
②ポンド買い
- 英政権が所得税の最高税率引き下げ撤回を表明
- クワーテング英財務相が「所得税の最高税率を45%から40%に引き下げる案を撤回する」と発表
③ドル売り
- 米経済指標
- JOLT労働調査:予想11075千件 結果10053千件(前回11170千件)
- 求人情報の掲載件数が大幅に減ったということは、回復してきている証拠とマーケットが判断
143.80円台まで下落し、米株価が上昇。
④ドル買い
- 米経済指標
- ADP全米雇用報告:予想20.0万人 結果20.8万人(前回18.5万人)
- 米貿易収支:予想-679億ドル 結果-674億ドル(前回-705億ドル)
- 米サービス業PMI【確報値】:予想51.8 結果52.0(前回51.8)
- ISM非製造業景況指数:予想56.4 結果56.7(前回56.9)
米指標が強い数字だった為、大幅にドル円は上昇する
⑤WTI原油上昇
- OPEC+は日量200万バレルの減産決定
- 米国政府をかなり刺激している状態
- ロシア単独の減産の可能性も浮上
⑥ドル買い
- FRBメンバー発言
- 米新規失業保険申請件数:予想20.3万件 結果21.9万件(前回19.0万件)
- 上記指標にて一時下落
しかし発言にて「インフレ撃退」と強い覚悟が感じれる内容だった為、すぐに買い戻しが入る。
⑦ユーロ売り
- ECB会合の議事録が公表
- 一部の当局者が50bp利上げを主張
- 利上げペース鈍化(従来は75bp)
⑦ドル買い
- 米経済指標:雇用統計
- 非農業部門雇用者数:予想+25.0万人 結果+26.3万人(前回+31.5万人)
- 失業率:予想3.7% 結果3.5%(前回3.7%)
- 製造業雇用者数:予想+2.0万人 結果+2.2万人(前回+2.7万人)
- 平均時給(前月比):予想0.3% 結果0.3%(前回0.3%)
- 平均時給(前年比):予想5.1% 結果5.0%(前回5.2%)
強い結果によりドル円は上昇。
為替市況
先週の為替市場は、米経済指標による動きが目立った1週間でした。
欧州通貨ペアは、
- ECB利上げ鈍化
- 米長期金利の上昇の影響
などにより売り込まれる展開へ。
今月は月・期始めと言うことでドル買いからスタートするが、やはり日銀の為替介入が意識されてなのか?ドル円は145円付近で跳ね返される状況が続いていました。
そして金曜日の雇用統計の数字にて、
- 失業率の低下がサプライズ
- 145円を突破して日銀介入前の高値水準まで上昇
上記より、為替介入より2週間程度ではあったが、日銀介入の影響は意味があったようにも思えます。
日銀は今後も為替介入するための玉数を保有しており、現在は高値水準まできているだけでまだ突破はしていません。
今週、高値更新するか?が注目となります。
そしてその高値を超えるか否か注目されている一つの重要指標が、今週の「CPI(消費者物価指数)」の結果次第だと予測しています。
次回FOMC:2022年11月2日
- 先週の雇用統計
- 今週のCPI
上記にてある程度の経済状況を示す数字のデータは揃います。
そしてFOMCにて、
- 50bp利上げ
- 75bp利上げ
いずれであるかは不明ですが、現在の状況は前代未聞の利上げ幅であるの事は間違いないです。
過度な引き締めをし続けると、次は景気後退を招くリスクへの警戒が強まってきます。
現在の米株価指数を見ていただくとご理解頂けると思いますが、大きく下落しています。
業績不安が世界的な株安の連鎖を生み、米債券市場では景気後退の予兆とされる長短金利の逆転(逆イールド)がどんどん深まっている状態です。
逆イールドとは、米長短金利において償還までの期間が短い債券の利回りが期間の長い債券の利回りを上回る状態になること。
通常は償還までの期間が長い債券の利回りの方が高くなり右肩上がりになるのですが、それが逆の現象になっています。
これはどのような影響が懸念されているかというと、「リセッション→景気後退の予兆」と捉えられています。
リセッション(景気後退の予兆)
ではなぜこの現象が「リセッション→景気後退の予兆」となるのかというと、通常であれば金融機関が短期で資金を調達し、長期で資金を貸出しています。
つまり、
- 安い金利で資金を借りる
- 高い金利で貸し出す
上記にて利ザヤを稼いでいるのですが、金利差が縮小すれば利ザヤが減少し、逆イールドとなれば利ザヤはなくなるだけでなくマイナスになります。
この状態を当然ですが長く続けることはできないので、長期の資金貸出が抑制されて景気の悪化につながってしまうという理由になります。
つまり現在は大幅な利上げをし続けて株価下落を引き起こし、景気後退につながる状況の水準まできていると言うことです。
ドル円150円という心理的節目がいずれ到達する可能性は高いです。
※日銀による為替介入がなければ
金利が急激に上がっている状況は続いているが、いずれ利上げ幅を鈍化せざる得ない状況(転換期)は必ず訪れます。
おそらく2023年頃だと思われます。
そうすれば現在のようなご祝儀相場的なボラティリティは終了しますので、相場を捉える感覚や頭を切り替えていく必要があります。
ただ、利上げをすればインフレを抑えることができるのか?と言うと、、、
- 株価とのバランスが重要
- 世界的な経済状況悪化
など、現在はとても判断が難しい状況だと感じています。
クリミア大橋の爆発
土曜日(10/8)には「クリミア大橋の爆発」がありました。
ロシアは9月に自国領とみなす地域が攻撃されれば、核兵器の使用も辞さないと発表もしていることもあり、いよいよ「核兵器」を使用されるのではないかとも言われている状況。
バイデン大統領もハッタリではないと捉えている所を考えると、核兵器が本当に使われる可能性が高いかも知れないと判断するべきなのか。。。
とても怖い事ですが、こういった世界的な経済状況や有事について考えていると、世界経済が一度地に落ちるという事が必要なのかもしれないとも感じています。
どのように巻き込まれないか?をしっかり意識する必要があると思いますので、日頃の情報を取りながらできる限りの対応をしていきたいと思います。
今週もよろしくお願いします。
“2022年10月|為替市況” への1件のフィードバック