2026年4月|為替市況

 

本記事では、2026年4月の為替市況について解説いたします。

テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。

そのため週間レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。

各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。

 

2026年4月6日~4月10日

【チャート】【画像で見る】

 

中東情勢、急転直下の「2週間停戦」と米CPIの結果 ー スタグフレーションの現実味

今週の金融市場は、中東情勢のヘッドラインによって「戦争回避のリスクオン(株高・原油安)」へ大きく振れたものの、週末の経済指標によって「戦争がもたらしたインフレの傷跡」を数字で見せつけられ、再び重苦しい雰囲気に引き戻される展開となりました。

 

1. 為替相場の総括:停戦合意による急落とインフレ再燃による底堅さ

週初、イースター休暇で薄商いの中、ドル円は160円を伺う高値圏で推移していましたが、停戦合意のニュースで流れが一変しました。

 

  • 有事のドル買いの巻き戻し:「2週間の停戦合意」が発表されると、過度なリスクオフ姿勢が後退し、ドル円は一時157.88円まで急落しました。
  • 底堅い推移へ:しかし、週後半にかけて発表されたPCEデフレーターや米CPIが強いインフレを示したことで米長期金利が下げ渋り、週末にかけては158円台〜159円台でのレンジ推移に落ち着いています。

 

2. 地政学リスク:最後通牒から「2週間停戦」へ、しかし火種は残る

 

  • 極限の緊張と空爆:トランプ大統領は「7日午後8時」を最終期限とし、イランへ猛烈な圧力をかけました。期限直前にはイランの原油拠点(カーグ島)やインフラへの空爆が行われました。
  • 奇跡的な停戦合意:期限の直前で、イスラエルの攻撃停止も含めた「2週間の停戦」が合意。これにより、115ドル付近まで暴騰していたWTI原油は一気に92ドル台へ急落しました。
  • 交渉の行方:停戦とはいえ、イランはホルムズ海峡の「有料化・独自の管理」を画策しており、通行量は激減したままです。さらに、イスラエルによるヒズボラ攻撃など「合意違反」の応酬も起きており、11日からの「米イラン直接協議」の行方にすべてが懸かっています。(合意には至りませんでした。)

 

3. 経済指標:米CPIの結果

週末の米消費者物価指数(CPI)は、イラン戦争によるエネルギー価格高騰を証明。

 

  • 米CPI:3月の米CPIは予想は下回るものの、前年比3.3%上昇(前回2.4%)と猛烈に加速。前月比でも0.9%増と、約4年ぶりの大幅な伸びを記録しました。
  • 原油高の直撃:ガソリン価格が前月比21.2%増、ディーゼル燃料は30.8%急騰(調査開始以来最大)と、エネルギー関連がインフレを力強く牽引しました。
  • 利下げ観測の消滅:第4四半期GDPが0.5%へ下方修正(景気減速)される中で、この猛烈なインフレデータが出たため、市場では「景気後退と物価高が同時進行するスタグフレーション」への懸念が拡大。年内のFRB利下げ観測は完全に後退しました。

 

4. 金融システム不安:プライベートクレジット市場の動揺

 

高金利と景気不透明感が続く中、今週は金融市場の「影のリスク」が大きくクローズアップされました。

「影の銀行」と呼ばれるプライベートクレジット市場での流動性危機が続いています。

 

ブルー・アウル社に続き、今週は大手カーライルのファンドでも約7億5000万ドルという大量の解約請求が殺到し、払い戻し制限(上限5%)が発動されました。

高金利の長期化が確定的な中で、金融システムへの不安が静かに広がっています。

 

5、米・イラン協議の動向と結果

 

  • 協議の結果(合意ならず):パキスタンで開催された米・イランの直接協議は、合意に至らず終了しました。米バンス副大統領が早々に帰国したことで、市場の想定以上に「物別れ」の印象が強まっています。
  • 主な争点と両者の溝:米国側は「核開発の放棄」や「高濃縮ウランの引き渡し」などを含む15項目のハードルが高い提案を提示しました。対するイラン側も「米国の貪欲さが合理性を妨げた」と猛反発しており、双方が高い要求をぶつけ合ったまま歩み寄りの姿勢は見られませんでした。

 

 

今週の主要トピックスまとめ

  • 地政学:最終期限直前で「2週間の停戦」に合意。しかしホルムズ海峡の本格再開には至らず、11日からの米イラン直接協議待ち。
  • 原油相場:115ドル付近まで上昇していたWTI原油が、停戦合意を好感して92ドル台へ急落。インフレ懸念が一時的に和らぐ。
  • 米CPI:前年比3.3%へと急加速。ガソリン価格の暴騰(+21.2%)が直撃し、FRBの利下げ期待を完全に打ち砕く結果に。
  • 米国経済:GDP確定値が0.5%へ下方修正される一方、インフレは再燃。「スタグフレーション」のリスクが本格的に意識され始める。
  • 株式・為替:停戦合意で一時リスクオン(株高・ドル安)になるも、CPIショックで冷や水を浴びせられ、上値の重い神経質な展開。(11日の米イランの協議待ち相場)
  • 金融システム不安:大手カーライルのファンドで大量の解約請求と払い戻し制限が発生。プライベートクレジット市場の信用不安が連鎖。

 

来週の注目ポイント

 

  • 協議合意至らず:バンス氏の早期帰国が「交渉上の演出」である可能性も指摘されており、実際の溝の深さは不透明です。しかし、2週間の停戦合意の期限まで残り約10日と迫る中、イスラエルによるレバノン攻撃やホルムズ海峡の航行妨害など、停戦の前提を揺るがす事態が続いています。(ギャップを開けてスタートの可能性)
  • ホルムズ海峡の「実質的な運用」:イランが通行許可制(有料化)を画策しており、原油の輸送コストが構造的に上昇するリスク(インフレの第2波)に注視が必要です。
  • 160円の攻防:インフレ再燃により米金利が上昇する中、日銀の介入ラインとされる160円台に再び突入した際の本邦当局の動きに最大限の警戒が必要です。