2026年5月|為替市況

 

本記事では、2026年5月の為替市況について解説いたします。

テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。

そのため週間レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。

各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。

 

2026年5月4日~5月8日

 

連続の介入と中東の膠着 — 157円台を巡る日米の攻防

今週のマーケットは、ゴールデンウィークの薄商いを狙った日本当局の「戦術変更」が鮮明になりました。

 

一方で、中東情勢は「停戦合意への期待」が「イランの拒絶」によって打ち消されるなど、依然として原油価格とドルを押し上げる要因として燻り続けています。

 

1. 為替相場の総括:介入の「157.30円」と「158.00円」の壁

ドル円は今週、当局による実弾介入と思われる急落が複数回確認され、上昇トレンドを力ずくで抑え込む展開となりました。

 

  • 戦術の変化(モグラ叩き):かつてのような5円幅の衝撃ではなく、157.30円や158.00円に近づくと即座に叩く、いわゆる「モグラ叩き」のような断続的な介入が観測されました。三村財務官は「フリーハンド(自由な裁量)がある」と述べ、IMFのルールに縛られず全方位で円安を阻止する姿勢を強調しています。
  • 底堅いドル買い:介入で一時155円台まで押し戻される場面もありましたが、中東でのUAE攻撃や米雇用統計の堅調さを受け、週末にかけて再び156円台後半まで買い戻されるなど、ドルの地合いの強さが目立ちました。

 

2.地政学リスク:UAEへの飛び火と、決裂した和平案

軍事的な緊張は「交渉」という名の心理戦へとフェーズが変わっています。

 

  • 紛争の拡大:週初、イランがUAEのフジャイラ港を攻撃。周辺国を巻き込む事態に原油価格は一時114ドル台(ブレント)まで再高騰しました。
  • トランプ流ディールの難航:トランプ大統領は「大きな進展があった」と楽観視を煽りましたが、週末にはイラン側が米国の14項目の和平案を「非現実的」として拒絶。パキスタンを仲介とした交渉は再び暗礁に乗り上げています。
  • ホルムズ海峡の「逆封鎖」:米海軍によるイラン船舶の遮断が続く中、イラン側も商船を拿捕するなど実力行使を継続。原油価格は一時100ドルを割り込む場面もありましたが、交渉難航を受けて102ドル台へ戻しています。

 

3. 各国の金融政策:RBAの独歩利上げとFRBの苦悩

  • RBA(豪州):予想通り0.25%の利上げを実施(4.35%)。他の中銀が様子見を決める中、インフレ抑制を最優先する姿勢を鮮明にしました。
  • FRB(米国):雇用統計は11.5万人増と予想(6.2万人)を上回りました。しかし、平均時給が下振れたことでインフレ加速への恐怖は若干和らぎ、米長期金利は4.3%台へ低下しました。パウエル議長は理事として残留し、政治的圧力からFRBを守る姿勢を貫いています。

 

4. 株式市場:日経平均「6万3000円」の衝撃

  • 日本株の独歩高:世界的な半導体・AIブームを背景に、日経平均は一時過去最大の3,320円高を記録し、先物では6万3000円台まで吹き上がる場面がありました。
  • 米国株:S&P500やナスダックも最高値を更新する勢いを見せましたが、週末にかけては中東情勢の再燃懸念から利確売りに押されるなど、高値圏での荒い動きが続いています。

 

 

今週の主要トピックスまとめ

  • 為替介入:GW中に約4.68兆円規模の介入。その後も157.30円/158.00円付近で執拗に上値を叩く戦術。
  • 中東情勢:UAEへの攻撃で緊迫化。トランプ氏の合意期待を裏切り、イランが米提案を公式に拒絶。
  • 原油相場:停戦期待で90ドル割れを伺うも、交渉難航報道で100ドル台を回復。高止まり継続。
  • 豪州利上げ:RBAが4.35%へ引き上げ。「必要なら何でもやる」というタカ派姿勢が際立つ。
  • 米雇用統計:11.5万人増と堅調。失業率も低水準を維持するが、賃金上昇の鈍化でドル買いは一服。
  • 重要会談:来週11日から米ベッセント財務長官が訪日。日米共同での為替・金利対策が焦点に。

 

来週の注目ポイント

来週は、いよいよ「米財務長官の訪日」という極めて政治的なイベントが相場の中心となります。

 

  • ベッセント長官の来日(11日〜):高市首相や植田総裁との会談で「協調介入」や「日本の利上げ」にどの程度踏み込んだ発言が出るかが鍵です。米国の高金利を是正するようなメッセージが出れば、ドル円は155円割れを目指す可能性があります。
  • 米イラン交渉の「次の一手」:拒絶された14項目の修正案が出るのか、あるいはトランプ氏が再び空爆という強硬手段(TACO)に戻るのか。原油価格の窓開けに要警戒です。
  • 日銀の利上げ期待の醸成:市場は7月までの利上げを100%織り込んでいますが、ベッセント氏との会談を受けて「6月前倒し」の観測が強まるかどうかに注目です。