為替市況

本記事では、2023年12月の為替市況について解説いたします。

(23/12/14)本年度のポジション整理(稼働停止)が完了しましたので、新規・追加のご入金が可能です。

 

テクニカル分析も重要ですが、FXは外貨と外貨の両替による取引で損益が発生します。

そのため週刊レポートは、通貨の売買を促すきっかけとなるファンダメンタルズ(経済/金融の流れ)中心の見解となります。

各週の相場状況・重要トピックスについて解説します。

 

2023年12月11日~12月15日

上記日程の重要局面をまとめます。

 

 

①(月)円安

  • 日銀報道
  1. マイナス金利・YCC撤廃など今月急ぐ必要がほとんどない
  2. ドル円0.76円(76pips)近くの急騰

 

②(火)ドル高(乱高下)

  • 経済指標
  1. CPI前月比:結果+0.1% 予想±0.0% (前回±0.0%)
  2. CPI前年比:結果 予想+3.1%+3.1%(前回+3.2%)
  3. CPI前月比・コア:結果+0.3% 予想+0.3% (前回+0.2%)
  4. CPI前年比・コア:結果+4.0% 予想+4.0(前回+4.0%)
  5. CPI前月比・スーパーコア:結果+0.44% (前回+0.22%)
  6. CPI前年比・スーパーコア:結果+3.9% (前回+3.7%)
  7. 結果は予想通りだがスーパーコアが高止まり

>>一時ドル円144.746円まで下落したが145.810円まで買い戻し

 

③(水)ドル安

  • 経済指標
  1. PPI前月比:結果±0.0% 予想+0.1% (前回-0.5%→-0.4%)
  2. PPI前年比:結果+0.9% 予想+1.0%(前回1.3%→1.2%)
  3. PPI前月比・コア:結果±0.0% 予想+0.2% (前回±0.0%)
  4. PPI前年比・コア:結果+2.0% 予想+2.2%(前回+2.4%→+2.3%)

>>ドル円50pipsほど下落

 

④(水)ドル安

  • FOMC
  1. 結果:据え置き
  2. 「利上げ打ち止め感」を匂わせる
  3. 「利下げ」議論を交わした
  4. ドル円は2.7円(268pips)下落

>>株価(NYダウ)が史上最高値を更新

 

⑤(木)ポンド高

  • BOE政策金利
  1. 利下げについて話し始めるのは時期尚早
  2. 6対3で、据え置きを決定(残り3は「利上げ」)

>>対ドルにて132pipsの上昇

 

⑥(木)ユーロ高

  • ECB政策金利
  1. 結果:据え置き
  2. インフレ、GDPの見通しは下方修正
  3. 利下げについて話し始めるのは時期尚早
  4. PEPP再投資のペースは来年下期に減少、年末には停止

>>対ドルにて100pipsの上昇

 

⑦(金)ドル高

  • 要人発言
  1. ウィリアムズ総裁:われわれは実際に利下げについて話し合っていない
  2. ウィリアムズ総裁:利下げ時期を議論するのは時期尚早
  3. ボスティック総裁:インフレが予想通り低下すれば24年の第3四半期以降に2回の利下げが可能

>>来年3月の早期利下げ観測が若干後退

 

⑧(金)ドル安

  • 経済指標
  1. 米PMI製造業:予想49.2 結果48.2(前回49.4)
  2. 米PMIサービス業:予想50.7 結果51.3(前回50.8)

>>マチマチの結果だったが、製造業の悪化に反応

 

為替市況

ドル円の値幅は5.6円(560pips)となり、大幅な下落となりました。

FOMC・ECB・BOEの結果により、

  • FRB(ハト派)
  • ECB、BOE(タカ派)

マーケットは捉えることになり、ドルが売られる対象となってしまったということです。

「FOMC」「BOE政策金利」「ECB政策金利」についてまとめていきます。

 

FOMC

【まとめ】
  • 政策金利は「5.25-5.50%」で据え置き
  • 声明文でもパウエル氏の会見でも「利上げ打ち止め感」を匂わせる
  • マーケットは「ハト派」と受け止めた内容なので「株高・ドル安」
  • 2024年の金利中央値は「450-475bp」で、24年年末までに「現在から75bp(3回)利下げ」
  • パウエル氏「利下げ議論をした」と発言
  • 経済見通しに関しては、23年度の「GDP引き上げ」と「インフレ率(コア含め)引き下げ」

FOMCは予想通りの「据え置き」となりました。

 

<FOMC金利見通し>

①2023年

  • 前回:2023年は12人が「あと25bp利上げ」7人が「利上げなし」
  • 今回:2023年は「据え置き」で満場一致

②2024年

  • 前回:2024年の金利中央値は「500-525bp」
  • 今回:2024年の金利中央値は「450-475bp」で、24年年末までに「現在から75bp(3回)利下げ」

③2025年

  • 前回:2025年の金利中央値は「375-400bp」
  • 今回:2025年の金利中央値は「350-375bp」で、25年年末までに「現在から175bp利下げ」

2024年は年間合計「75bpの利下げ」の見通しで、前回23年9月発表の見通しより下方修正し、さらに利下げする方向へ傾いた。

 

<FOMC経済見通し>

⚫︎オレンジ枠

一番大きな変動は、23年度の「GDP引き上げ」と「インフレ率(コア含め)引き下げ」になります。

つまり、9月発表の見通しの時より現在の米国経済が良い感じで進んでいる事を表しています。

 

⚫︎緑枠

24、25年は、ほぼ据え置きの状況。

24年GDPや24-25年インフレ率がやや下方修正しておりますが、9月発表の見通しから特に変わらずです。

 

<パウエルFRB議長>

(個人的な見解)

パウエル氏の発言ではタカ派と想定しておりましたが、結果は全くのサプライズでした。

「利下げは視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白だ。今回のFOMC会合でも議論した」という発言には驚きました。

 

ハト派色が強い発言内容です。

  • インフレは緩和したものの、依然として高すぎる
  • 引き締めの効果はまだ十分に感じられていない可能性
  • 策は制限領域にうまく移行した
  • 失業の急増なしにインフレが緩和したことは良いニュース
  • FOMCは慎重に進んでいる
  • 労働市場のリバランスは継続すると予想
  • ここ数カ月のインフレ率低下を歓迎
  • FOMCは雇用市場の緩和が継続すると予想
  • 名目賃金の伸びは鈍化しているようだ
  • 金利上昇が設備投資に重し
  • FOMCは適切であれば追加引き締めの用意」
  • 当局者はさらなる利上げの可能性をテーブルから外すことを望んでいなかった
  • 政策金利は今サイクルのピークかそれに近いと考えている
  • きょうの会合で利下げのタイミングを協議した
  • FOMCは現状維持が長すぎる場合のリスクを認識

 

FOMCの結果を受け、マーケットは以下の反応になっております。(14日午前中の時点)

(24年3月FOMC)利下げ確率が70%程度と高まってきています。

(24年度の年末)「375-400bp」まで利下げをするだろうと予想されています。

(現在)525-550bpより125-150bp(6回)利下げをすると織り込んでいます。

 

マーケットはかなり「利下げ」の方向に傾いておりますね。

今後の経済情勢・FRBメンバーの発言などによりこの確率は変動しますので、今後も引き続き追い掛けていきます。

 

BOE政策金利

【まとめ】
  • 政策金利は「据え置き」(525bp)
  • MPCは6対3で、据え置きを決定(残り3は「利上げ」)
  • インフレ率を持続的に2%の目標に戻すために、現在の高い金利水準を保つ必要がある
  • 金利がピークアウトしたとは言えない
  • 利下げについて話し始めるのは時期尚早

まず決定会合では金利は「据え置き」と発表しました。

MPCの声明文では、

  • 6人が「据え置き」
  • 3人が「利上げ」を主張

マーケットはタカ派と捉えられています。

そして現在のインフレを落ち着かせる為には、高い金利水準を維持する必要があることも同時に発表しており、ベイリーBOE総裁も「まだまだ利下げがあるか憶測するのは時期尚早だ」と発言しております。

 

(現在)米国が「利下げに対して議論している」とのことから、市場の利下げ観測が早まっています。

その流れより、「ECBやBOEも」というような噂がエコノミストの間で囁かれていましたが、それを打ち消すような内容でした。

マーケットはタカ派と捉え、ポンドが大きく買われ、対ドルで132pipsの上昇をすることになりました。

 

ECB政策金利

 

【まとめ】
  • 政策金利は「据え置き」(450bp)
  • 2024年のインフレ予想を+3.2%から+2.7%に下方修正
  • 2024年のGDP見通しを+1.0%から+0.8%へ下方修正
  • インフレ率は依然として高すぎる状態が続く
  • 「利下げ」については全く議論しなかった
  • 金利水準は十分に長期間維持されなければならない
  • パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について24年下半期は月75億ドルづつ買い上げを縮小
  • パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について24年年末には停止

決定会合では金利は「据え置き」と発表しました。

(参考URL)ブルームバーグ

ECB、利下げ議論せずと総裁-コロナ購入債の保有縮小加速へ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-14/S5NRI2T0G1KW00

 

見通しに関しては以下になります。

24年度のGDPもHICP(インフレ率)もどちらも下方修正となりました。

このように予測はしていますが、ラガルドECB総裁はインフレ率に対しての警戒をまだ緩めず、「利下げについては全く議論しなかった」と発言してマーケットはタカ派と捉えました。

こちらもBOEと同様に、エコノミストの間では「FRBよりECBの方が利下げ時期が早い可能性がある」と囁かれていましたが、それを打ち消すような内容で「利下げに関しては時期尚早」と述べています。

 

そして重要なことがもう一つあり、「PEPP(パンデミック緊急プログラム)」に関して、本来24年末まで再投資するとしていましたが、24年上半期までは現状の再投資は続けて、24年下半期は月75億ドルづつ買い上げを縮小すると発表しました。

PEPPは緩和策になりますので、前倒しで再投資を減額する発表はタカ派と捉えられたという側面もあります。

上記の事からマーケットはECBもタカ派と捉え、ユーロが大きく買われ、対ドルで100pips程度の上昇をすることになりました。

 

まとめ

主要4カ国の政策金利が発表されました。

現在の主要5カ国のタカ派度合いは、米国が早期に「利下げ議論があった」ということを発表したことにより、要人発言をそのまま受取と以下になります。

  • RBA(豪州)>ECB(欧州)=BOE(英国)>FRB(米国)>BOJ(日本)

今週19日にBOJ(日本)の発表となりますが、現状維持ということで上記にて設定しております。

日銀がどのような修正(YCC修正or撤廃?マイナス金利解除?)をしてくるかに注目です。

 

そして本年度は12月14日をもって【稼働停止】致しました。

 

毎年の事では御座いますが、ファンドの多くは11月に手仕舞いとなります。

その結果、12月は市場参加者が少なく、流動性が低下し予測が難しい局面となります。

また2023年を振り返ると、

  • 各国インフレ抑制(撃退)の政策
  • 日本|41年ぶりに高インフレ水準
  • 米国|金融機関の破綻
  • 日経225|33年ぶり高値更新
  • パレスチナ(中東)問題勃発
  • NYダウ|史上最高値更新

など、急激な利上げ政策による様子見の1年となり、平常期と比較しても約2倍強のボラティリティが発生した為替にとっては難しい相場でした。

 

稼働や週報の配信の再開は、【2024年1月中旬】となります。

本年度も有難う御座いました。

2024年も引き続き宜しくお願い致します。

 

2023年12月4日~12月8日

上記日程の重要局面をまとめます。

 

 

①(月)ドル高

  • 前週金曜日のドル安調整
  1. 長期金利の上昇によるドル高

 

②(火)豪ドル安

  • RBA政策金利発表
  1. 結果:据え置き
  2. 前回利上げのため、今回は据え置きで様子見

 

③(火)ユーロ安

  • シュナーベルECB専務理事発言
  1. インフレ動向は朗報で、コア価格の低下は顕著
  2. 追加利上げの可能性は小さい
  3. インフレは正しい道筋だが、更なる進展が必要

 

④(火)ドルレンジ

  • マチマチな経済指標結果
  1. サービス業PMI:予想50.8 結果50.8(前回50.8)
  2. ISM非製造業景況指数:予想52.0 結果52.7(前回51.8)
  3. JOLTS求人:予想9300千件 結果8733千件(前回9553千件→9350千件)

 

⑤(水)ユーロ安

  • ECBの利下げ見通し観測記事
  1. 24年は▲1.5%(▲150bp)|3月の利下げ確率は80%
  2. ユーロからドルへ資金が流れる

 

⑥(水)原油安

  • 週間原油在庫
  1. 減産がうまくいってない
  2. 米国の原油の在庫が増えている
  3. 60$台まで低下

>>インフレ後退か?

 

⑦(木)円高

  • 植田日銀総裁の発言
  1. 年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる
  2. YCC修正か、マイナス金利解除を連想させる発言
  3. 12月18日の日銀会合にてマイナス金利解除観測

>>欧米時間より1日のドル円値幅は約5.7円(570pips)の暴落

 

⑧(金)ドル高

  • 経済指標
  1. 非農業部門雇用者数:予想18.3万人 結果19.9万人 (前回15.0万人)
  2. 失業率:予想3.9% 結果3.7% (前回3.9%)
  3. 労働参加率:予想62.7 結果62.8 (前回62.7)
  4. 平均時給(前月比):予想0.3% 結果0.4% (前回0.2%)
  5. 平均時給(前年比):予想4.0% 結果4.0% (前回4.1%→4.0%)
  6. ミシガン:予想61.5 結果69.4(前回61.3)
  7. 1年先期待インフレ:予想4.3% 結果3.1%(前回4.5%)
  8. 5年先期待インフレ:予想3.1% 結果2.8%(前回3.2%)
  9. 期待インフレ以外、全て予想を上回る強い結果

>>ドルの買い戻しが入り、ドル円は2.5円(250pips)の値幅で上昇

 

為替市況

対象週の為替相場は、日銀総裁の発言により木曜日よりドル円の急落がありました。

その後は、強い経済指標の結果によりドルの買い戻しが入り、ドル円は高値引けをします。

今回は「2023年12月1日から今週末までのマーケットの流れ」についてまとめます。

 

米国の利下げ時期は?

2023年12月1日からのマーケットの流れは、前回の週間レポートにも掲載通り、米国の「利下げ」時期が24年5月から90%以上が織り込んでいる状態です。

先週はじめより、『3月から「利下げ」が始まるのではないか?』という話が浮上してきた為、米金利低下のドル安が続いていました。

(12月6日)日銀の氷見野日銀副総裁が「マイナス金利の解除」の出口戦略について触れました。

(12月7日)植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジング(YCC修正か、マイナス金利解除を連想)になる」という発言をしたことにより、「12月19日の日銀会合にてマイナス金利解除観測」が高まることで欧米勢が反応し、大きく円買いが入りドル円は急落(約6円)することになります。

ドル円の急落要因は、

  1. 前週からの米国の金利低下
  2. 日銀のマイナス金利解除観測

上記のダブルパンチで、日米の金利差が縮小したことが要因になったと推測しています。

利下げのセンチメント(感情)があるマーケットにて、上記のような材料があると、ドル円がここまで急落することになっても不思議ではないと感じております。

 

(12月10日時点)FedWatch

(12月8日)米経済指標の結果前は、24年3月のFOMCにて利下げが開始される予想が50%程度の確率がありました。

しかし米経済指標後には結果が強かったことで、『3月利下げはさすがに早すぎる』とマーケットも感じたのか、利下げ観測確率は弱まっているという状況です。

 

24年5月会合時の利下げに対するマーケットの予想比率です。

<23年12月2日時点><23年12月10日時点>

5月の利下げ織り込み度は徐々に低下しておりますが、25bp利下げ予想比率がやや高くなっています。

(12月2日時点)3月利下げを織り込んでいた方たちが、「3月の利下げは早すぎるが、5月に25bpの利下げはされるだろう。」と感じた始めた事になります。

掲載画像通りに進めば、【5月の利下げが注目されている】ということになります。

※このデータは今後の米指標結果次第で変動

 

年内最後のFOMC

今週は年内最後のFOMCがあることから、マーケットはかなり注目しております。

マーケットが注目している点は、「FRB経済・金利見通し(ドットプロット)」になります。

政策金利の結果は「据え置き」が97%となっており、ほぼほぼ決定しております。

 

それ以上に重要なことは、3ヶ月に一回FRBから発表される「FRB経済・金利見通し(ドットプロット)」について、24年の見通しがどのように変化するかに注目が集まっています。

▼前回9月FOMCにて発表された見通し

 

  • <①>2023年は12月FOMCにて12人が「あと25bp利上げ」7人が「利上げなし」
  • <②>2024年の金利中央値は「500-525bp」で、24年年末までに「50bp(1〜2回)利下げ見込み」
  • <③>2025年の金利中央値は「375-400bp」で、25年年末までに更に「125bp(3〜5回)利下げ見込み」

注目は、②24年度の金利中央値が500bp強と現在の段階でも見込まれているかどうかという所です。

この24年度の金利中央値から、「現状維持?上方修正?下方修正?」されるかに注目が集まっていると考察しております。

もし現状維持や上方修正となればドル買いが入り、下方修正となるとドル売りの可能性があるということになります。

 

 

後はパウエルFRB議長の発言(会見)になります。

「まだタカ派?それとも24年の利下げに向けてハト派?」のいずれになるかという所ですね。

インフレが再燃する可能性もあるので、完全なハト派に寄ることはないと思いますが、インフレが落ち着いてきている状態なので、徐々にトーンダウンをし始めるタイミングになるかどうかというところに注目。

個人的にはまだインフレ再燃を警戒して、ハト派に寄ることは無いと思っていますが、マーケットがパウエル氏の発言をどのように捉えるかによっても相場状況は変わってくる為、年内最後のFOMCに注目です。

 

まとめ

今週と来週のスケジュールは、かなり重要な2週間となります。

<12月12日(火)>

  • 米CPI(消費者物価指数)

<12月13日(水)>

  • FOMC(米国)

<12月14日(木)>

  • ECB政策金利(欧州)
  • BOE政策金利(英国)

<12月19日(火)>

  • BOJ政策金利(日銀)

 

12月はファンド勢の参加が少なく、市場の流動性が減少し不規則な動きになる傾向が高めです。

情報収集をしながら慎重に進めていきます。

今週もよろしくお願いします。